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歯科一般について

ビスフォスホネート製剤と歯科治療

<歯科治療にあたって>

<注射用製剤投与を受けている患者さんの場合>

(1) 原則的には、注射用BP製剤による治療の開始前に歯科検診を受けることが必要です。

十分な口腔検査を実施し、外科的な歯科処置が必要と判断される場合は、可能な限り注射用 BP製剤による治療の開始前に完了し、歯周組織の健康状態を良好にしておくことが必要です。

(2) BP製剤投与中に抜歯等の侵襲的歯科処置が必要となった場合には、処方の変更や中止ができるかどうか処方医に相談する必要があります。

しかし、少なくとも術前3ヶ月以上の休薬が必要であり、術後、手術部位が治癒するまで(約2ヶ月)注射用BP製剤の治療を延期することが推奨されるため、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症や骨関連事象(骨痛や病的骨折)のリスクが高い患者さんでは、中止や変更が困難となります。

歯科治療は直接骨損傷を伴うような抜歯等の処置は避け、可能なかぎり最も侵襲が少ない(非外科的)な歯科治療が推奨されます。

<経口製剤投与の患者さんの場合>

(1) BP製剤による顎骨壊死の発生を防ぐ最善の方法は、口腔衛生状態を良好に保つことと、定期的な歯科検診などを含めた口腔ケアです。

(2) BP投与中に抜歯等の処置が必要となった場合には、注射用製剤の場合と同様に処方の変更や中止ができるかどうか処方医に相談する必要があります。

経口BP製剤による顎骨壊死発生のリスクは低いものの、経口BP製剤による治療期間が3年を超えるとリスクが上昇するといわれています。

また、コルチコステロイドを長期併用している場合には、経口BP製剤による治療期間が3年未満でもリスクは上昇すると言われています。

このような場合では、患者さんの全身状態から経口BP製剤を中止しても差し支えないのであれば、歯科処置前の少なくとも3ヶ月間は投与を中止し、処置部位の骨が治癒傾向を認めるまでは再開するべきではないとされています。

経口BP製剤投与期間が3年未満で、危険因子(前項参照)がない場合には、予定された侵襲的な歯科処置の延期/中止や経口BP製剤投与中止の必要はないとされています。

歯科処置を行う前に、徹底した口腔清掃、あるいは抗生物質の予防的投与により顎骨壊死の発生頻度が有意に低下するとの報告がされています。

(3) 顎骨壊死が発生した場合には、薬剤の変更や中止が推奨されます。

<BP製剤による顎骨壊死の治療>

stage1(無症状で感染のない骨露出、骨壊死)

抗菌性の洗口液でのうがいや洗浄。
3ヶ月ごとの経過観察。
口腔ケアの徹底

stage2 (疼痛や感染を伴う骨露出、骨壊死)

抗生物質の投与と抗菌性の洗口液でのうがいや洗浄。
鎮痛剤の投与
粘膜を刺激している表層部分に限局した壊死骨の除去。

stage3 (病的骨折、皮膚からの排膿、著しい骨吸収や破壊を伴う重症症例)

stage2の処置に加えて、壊死骨の外科的除去。

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