インプラント(1) はじめに
虫歯や歯周病、外傷などさまざまな原因で、人は歯を失うことがあります。また、生まれつき、歯の数が足りないこともあります。
歯は歯ぐきから出ている部分(歯冠)と骨の中に埋まってそれを支えている根の部分(歯根)から成り立っています。
虫歯などで、歯冠の部分がなくなったとしても、歯根が残っていれば、そこに土台を作り、いわゆる、さし歯をすることができます。しかし、歯を失うということは、歯冠を支えている歯根も失ってしまうということなので、さし歯をすることはできません。
歯を失ったままにしておくと、さまざまなトラブルが起こります。
* ものが噛めない。
* 発音が悪くなる。
* 隣り合っている歯の負担が大きくなるため、グラグラしたり、傾
いたりする。
* 噛み合わせが悪くなり、顎関節などに負担がかかる。
* 歯のない部分が気になって、人前で表情がこわばったり、大き
な口を開けて笑えない。
* 噛む刺激が骨に伝わらないため、骨が吸収し、歯ぐきがやせて
きます。
噛むということは、想像以上に強い力がかかっています。
また、歯が歯列を作って存在していることで、いろいろな機能を果たしており、1本1本の歯がそれぞれ大きな役割を担っているのです。
そのため、今までも、色々な方法で、失った歯を補ってきました。
失った歯の数が少ない場合は、従来、隣り合った健康な歯を支えとするブリッジなどを行うことが多く、失った歯の数が多い場合は、取り外しをする義歯(入れ歯)を作ることが一般的な方法でした。
しかし、この方法にも色々な問題点があります。
<ブリッジの場合>
* 失った歯の両隣を支えにするため、健康な歯を削らなければな
らず、負担もかかる。
* ブリッジの下に食べ物がはさまったりするため、気兼ねなく好き
なものが食べられない。
* うまくブラッシングできないと、磨き残ししやすいため、口臭や歯
周病の原因になる。
<入れ歯の場合>
* 周りの歯との違いが目立ち、人前で口が開けられない。
* 会話中や食事中に入れ歯がはずれそうになって気になる。
* 発音がしづらい。
* 入れ歯が合わずに何度も作り直している。
* 入れ歯のバネの部分に汚れがつきやすく、負担もかかる。
* 食事中、入れ歯と歯ぐきの間に食べ物が入り込んで気持ちが悪
い
* 噛む力が弱くなり、硬いものが食べられない。
* 入れ歯で歯ぐきが覆われているため、食事がおいしくない。
* 食後、入れ歯をはずして洗うので、外出時に困る。
このような悩みをお持ちの患者さんのために研究、開発されてきたのがインプラントによる治療法なのです。