歯周病の治療 (3)
3.外科治療
基本治療で部分的にポケットの深さが改善されず残った場合、ブラッシングでプラークが取りきれないため、ポケット内で細菌が生息します。
また、進行した歯周病に対して外科的にポケットの深さを減少させるような手術があります。
また、特殊な材料を用いて部分的に失われた骨を再生させる手術(歯周組織再生手術)を行うこともあります。
ポケットが改善されればメインテナンスに移行します。
歯周組織再生手術とはどんなことをするのでしょうか?
従来の治療法では、歯周組織の破壊がすすみ、深いポケットできている場合には、歯周外科手術により、プラークや歯石を除去します。
ポケットを浅くし、感染した組織を取り除くことにより、清掃しやすい健康な組織になりますが、歯の支持組織が元に回復したわけではなく、歯を機能的に支えることができるかどうかは確かではありません。
また、歯肉は本来の位置よりも低くなってしまうため、歯が長く見えるようになります。
1.エムドゲインによる歯周組織再生
赤ちゃんの時の歯の発生過程の研究から生まれた歯周組織再生誘導材料で、スウェーデンのビオラ社で開発されました。
エムドゲインの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくるときに重要な働きをするタンパク質の一種です。
歯周外科手術の際に、手術部位にエムドゲインを塗布することにより、歯の発生過程に似た環境を再現します。
こうして、初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能を持つ歯周組織の再生を促すのです。
2.GTR法による歯周組織
歯周治療の最終目的は病気の進行を止め、元の健全な状態に組織を回復させることです。
歯周病で破壊された支持組織(線維組織や骨)は、その原因を除去すれば再生しようとします。
しかし、患部を清掃した後に何もせずそのまま待つと、必要な支持組織が再生する前に別の軟組織がそこに入り込み、うまく再生しません。
そこで、ポケットの内部を清掃した後に、メンブレン(膜)を設置し、外からの不要な組織が侵入しないように防御します。
そうするとメンブレンの下には歯の支持組織が再生し始めゆっくりと成長してきます。
ある一定期間を経過してメンブレンを取り除くと、歯は新しく再生した組織で覆われています。
このメンブレンには、非吸収性のもの(長年、人工血管や人工硬膜にも使用されている、生体適合性が高く、安全な素材)と吸収性のもの(一定期間の間に徐々に吸収するため、取り除く必要がありません)