睡眠と歯ぎしり
口の異常な習癖(くせ)にブラキシズムというものがあります。
ブラキシズムには、
上下の歯をすり合わせて音を出すグラインディング(いわゆる歯ぎしり)と
音は出さないが、歯を強く噛みしめるクレンチング(噛みしめ・くいしばり)などがあります。
緊張で歯を噛みしめたり、仕事に集中している時に噛みしめることは、昼間でも起きますが、歯ぎしりは、主に睡眠中(仮眠も含めて)に生じます。
人は正常な日常生活(食事や唾液を飲み込む時など)で、1日15分前後、上下の歯が接触すると言われています。
逆に、それ以外の時間は上下の歯は常に約1~2mm離れていて接触していません。
しかし、睡眠中には、健康な人でも一晩に15分前後もブラキシズムを行っています。
病的なブラキシズムの力は、強くガムを噛んだ時の数倍~数十倍にも達すると言われています。
それが、長時間、過度になってくると病的なブラキシズムとなり、様々な問題が起きてきます。
(歯ぎしりの項を参照して下さい)
ブラキシズムは、眠りを浅くし、レム睡眠を阻害する睡眠障害を起こします。
また、病的な歯ぎしりの約80%が、睡眠時無呼吸に密接に関連しており、さらにその70%が危険な中枢型の睡眠時無呼吸であるといわれています。
睡眠時のブラキシズムを病的に増大される原因は、情緒的問題(精神的ストレスや性格など)や咬み合わせの問題などが議論されていますが、まだはっきり分かっていません。
メカニズムがまだ解明されていないため、治療法は対症療法となりますが、スプリント療法(マウスピース)、自己暗示療法、薬物療法、行動療法、理学療法などが行われています。
睡眠は、肉体的にも精神的にも健康に大きくかかわっています。
質の良い睡眠を確保するためにも、ブラキシズムの兆候や症状がある方は、専門医の受診をお勧めします。