睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群という言葉をお聞きになったことがありますか?
睡眠時の歯ぎしりと同様に、睡眠時の無呼吸も本人には自覚がありません。
あえぐような激しいいびきの後に呼吸がとまることを、家族や友人によって指摘されて知ることが多いのです。
呼吸停止によって眠りが中断され、深い眠りがとれないため、日中ひどい眠気に襲われ、仕事や社会生活に支障をきたすことがあります。
ひどい場合には、仕事中でも運転中でも所かまわず眠気が襲ってきて、無意識に寝てしまいます。
世界的な大事故であるチェルノブイリの原発事故やスペースシャトルチャレンジャー号の爆発事故は、担当者の”ひどい眠気”が原因となっており、その中には“睡眠時無呼吸症候群”が潜んでいると言われ、大きな問題になりました。
日本でも、山陽新幹線の居眠り事故は、睡眠時無呼吸症候群が原因だという診断結果がでています。
睡眠時無呼吸症候群とは?
無呼吸になる原因の多くが、舌の根もとが気道に落ち込んでふさいだり、扁桃腺肥大で気道が閉塞する”閉鎖型”で、呼吸中枢機能の低下で起こる”中枢型”は少ないとされています。
睡眠時無呼吸症候群と診断されるのは・・・
① 呼吸が10秒以上止まる”無呼吸”が一晩(7時間)に30回以上場合
あるいは、
② ”無呼吸”が1時間あたり5回以上ある場合
です。
睡眠時無呼吸症候群の問題は、ただ単に呼吸が止まって、眠りが浅くなり昼間眠くなるという点だけではありません。
睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと、脳血管障害や心臓血管障害などの発作を起こして命を落とす人が増えるということが、今問題になっています。
呼吸が止まって死ぬということではなく、たびたび呼吸が止まって酸素濃度が下がることで、体の中にいろいろな(高二酸化炭素、血管攣縮、不整脈など)影響が及んできます。
それが原因となって動脈硬化が進み、巡り巡って命を落とすことになるのです。
睡眠時無呼吸症候群の患者が高血圧や心筋梗塞、脳卒中などを合併するリスクは、2~7倍も多いとされています。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
内科や耳鼻科の専門医で検査を受け、睡眠時無呼吸症候群であると診断された場合、それぞれの症状に合わせた治療が始まります。
閉塞型の治療は、基本的には気道の閉塞を防ぐために睡眠時に鼻にマスクを装着して、機械で加圧した空気を送り込むという装置”鼻CPAP(シ―パップ)”を使用します。
しかし、軽症の人や中等症の人でも、どうしても鼻CPAPが使えないという人には、マウスピースの1種である口腔内装置(スリープスプリント)を使用することがあります。
これは、歯にスリープスプリントをかぶせて下あごを前に突き出させることによって、舌根が気道に沈み込むのを防ぎます。
いずれにしても治療には、内科や耳鼻科で検査し、睡眠時無呼吸症候群と診断されることが必要です。
お心当たりのある方は、内科や耳鼻科の専門医に相談されることをお勧めします。